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星を掴めるのか推察中の田舎者の記。 通りすがりの拍手の方、どうもありがとう ございます。
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ようやく風邪が治ってきたっぽいです。

先日マンガ集中買いの時に一緒に買った本に、
ポプラ社・百年文庫の『本』というのがあるのですが、
これに収録されてるユザンヌ「シジスモンの遺産」がとても好きだ!と!
そもそも百年文庫の中で何で『本』を買ったかといえば、
裏表紙の収録作についての紹介文に、
上記「シジスモンの遺産」について「抱腹絶倒の奇策の数々」と書かれてて、
そういう言葉に滅法弱い輩なもんで、
ではでは読んでみよう、と購入してきたのです。

「シジスモンの遺産」は、
ラウールという名の熱狂的な本の収集家が、
同じく愛書家であるシジスモンという男の死を知るところから始まります。
シジスモンの蔵書(ラウールが欲しい貴重な本ばかり)が、
売りに出ないか、とラウールは待ってるのですが、
実はシジスモンは蔵書に関して遺言をばっちり残していて、
それゆえにラウールは、
シジスモンの遺産の相続人であるエレオノールという婦人と、
蔵書を賭けた攻防を繰り広げていきます。

このエレオノールという婦人がまたすごくて、
シジスモンの蔵書には一切の興味もないんですが、
個人的にシジスモンに恨みを募らせていて、
ラウールとの初対面の時には既に、
「蔵書の部屋にネズミを放し、屋根も壊して雨漏りさせて蔵書をダメにする」
という作戦を実行しています。
コレクターからすれば貴重な本ばっかりなもんだからラウール悲鳴。
ひっそり忍んでは部屋に猫を放し、屋根の穴を塞ぎ、
として何とか本を守ろう!としますが、
エレオノール婦人も全く屈せずに…と終始こんな展開。
こういう話はとても好きです。
生田耕作という方の訳文なんですがこの訳もすごくテンポが良くて、
サクサク読めます。
引用させてもらうと個人的に、
あげくのはては札束を武器の激烈な白兵戦に発展。

なんて一文が冒頭からあるあたりたまりません。
好きだわー。

…でも割と力いっぱい「動物愛護!」でいる人は読まない方が良いような。


他の二編は島木健作「煙」佐藤春夫「帰去来」
前者は古本市の買い付けに行った青年、
後者は作家と作家の下を訪れた作家志望の青年の話です。
どっちも青年が己の人生の行く先を考え悩むシーンがあって、
ちょっとこう、身につまされるという感じです。
夏前に読んでたらきっと引っかからないようなところに、
あ、と引っかかったりしたので、
良いタイミングでこの二編を読んだのではないかなー、と思います。

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シジスモンの遺産
初めまして。自分は百年文庫ではなく晶文社の「書物愛 外国篇」でこの作品を知りました。二月末に創元文庫から出版される前に図書館で読んでおこうと思い立ちまして。「抱腹絶倒の奇策の数々」まさにその通りで笑い転げました。女の幸せを踏みにじったブツに対するエレオノール嬢の復讐も容赦無い!ラウールが、あえなく最期を遂げた後、彼の収集品もシジスモントの本と同じ運命を辿り、同好の士がまたしても憤死したのではないかしら。訳者の
生田耕作先生も愛書狂として知られた方で出版社まで立ち上げて、愛書狂アンソロジーも編んでおられます。長々すみません。
nobara 2014/02/24(Mon)13:16:56 編集
返信遅延申し訳ないです
nobaraさん初めまして、このブログを書いておりますシリュウと申します。
返信遅くなってしまいました申し訳ないです…!

「シジスモンの遺産」についてのお話ありがとうございました!
生田耕作先生が愛書狂でいらっしゃること、初めて聞くお話でした。
そういう点を踏まえて読むと、また違った読後感がありそうですね!また読み返したくなりました。
エレオノールによる本を通した故人への復讐ぶりが常人には思い付きもしないもので、
かわいそうな気がするラウール(笑・いちばんかわいそうなのは蔵書だと思いますが)
でもそれこそが抱腹絶倒な話を構成するポイントなんでしょうね。
シリュウ 2014/03/02(Sun)18:38:56 編集
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プロフィール
HN:
シリュウ シノブ
性別:
非公開
職業:
足軽(にわか)。
趣味:
読書。音楽(聴くのみ)。等々。
自己紹介:
プロフィール画像は、
かつてのブログペットのけーわくさん。
記念にとっといた回。
しかし台詞はなんじゃこりゃー

どっかにハマるとしばらくそればかり、
ただし若干年相応ではない。
が、本人至って気にせず,
欣ちゃん言うところの
「はじめて聴いた時が新曲!」理論で
マイペースにやっております。
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